機械翻訳について

誤訳があることをわかった上で賢く利用。

機械翻訳の誤訳

「わたしはあれよりこれの方が好き。」を上記の機械翻訳で中国語に訳してみた結果は以下の通りです。こんな簡単な短い文でも機械翻訳は間違います。特にGoogle翻訳はひどい結果です。なお、機械翻訳の結果は固定ではありません。わたしが調べた時にこのような結果が出ただけで、時間が経つとまた結果は変わります。

みらい翻訳お試し版○比起那个,我更喜欢这个。
百度翻译○我比起那个更喜欢这个。
有道翻译○比起那个,我更喜欢这个。
有道翻译×我喜欢这个比那个好。
Google翻訳×我比这更好。
「わたしはあれよりこれの方が好き。」を機械翻訳にかけた結果

機械翻訳の精度は対訳例文(ある言語で書かれた文を人間が別の外国語に訳した文)をどれくらい持っているかに影響されるそうです。今回はたまたま日本と中国の機械翻訳が正解していますが、これは日本の機械翻訳は日本語と外国語の、中国の機械翻訳は中国語と外国語の対訳例文をたくさん持っているからかもしれません。但し、日本と中国の機械翻訳でも誤訳はたくさんあります。

機械翻訳を反訳でチェック

機械翻訳で訳文が出たら、それをもう一度機械翻訳にかけて訳し直して、どれくらい一致するかチェックしてみてください。一致すれば翻訳が合っている可能性が高くなりますが、一致しても誤訳している時はあります。

(例)中国語→日本語訳文→中国語
最初の中国語原文と再翻訳した中国語がどれくらい一致するかチェックする。

(例)日本語→中国語訳文→日本語
最初の日本語原文と再翻訳した日本語がどれくらい一致するかチェックする。

VoiceTra
反訳を1画面に組み込んだスマートフォン用アプリ。

辞書を引こう!

機械翻訳にのみ頼らずに辞書を引いてください!以下にWeb上で無料で引ける辞書を紹介しておきます。

iPhoneユーザー、iPadユーザーの人へ

  • iOS14以降、iPad OS14以降は三省堂『超級クラウン中日辞典』『クラウン日中辞典』が内蔵されています。
  • 最初はOFFになっているので、設定を変更してONにします。
  • 「設定」→「一般」→「辞書」
  • iPhoneやiPadの言語設定を日本語にしていると、最初は国語辞典と英和・和英辞典にしかチェックがついていません。必要な辞書をタップしてチェック✓をつけると、辞書データがダウンロードされます。
  • 辞書を引くための専用のアプリはありません。
  • メモ、メール、Webブラウザなど文字を選択できるアプリで、単語を選択します。
  • 出てくるメニューで「調べる」を選びます。
  • ONにしている辞書が横断検索されます。
  • 個別の辞書をタップすると、辞書本文が表示されます。

MS Officeのアクセシビリティ機能

最近Microsoftがアクセシビリティ機能に力を入れているようだ。Microsoft Officeに、ディスレクシアなど読むことに困難のある人のためのイマーシブリーダー機能(WordやOneNote)や、聴覚にハンディキャップのある人のための音声入力による字幕表示機能(PowerPoint)ができている。

専用の特別なソフトウェアではなく、ビジネスの現場でも教育の現場でもよく使われるMicrosoft Officeにアクセシビリティ機能があるのが大きい。ぜひ教育現場でも知られて欲しいと思う。特に読むことや聞くことに困難のある義務教育の児童生徒のために教員に知られて欲しいと思う。

イマーシブリーダー機能

ディスレクシアなど読むことに困難がある人のための機能である。以下にMicrosoft社のヘルプ記事を挙げる。

イマーシブリーダー機能とは、行間や背景色を調整して読みやすくし、更に合成音声で読み上げる。読み上げの際には読んでいる単語をハイライトして示すので、どこを読んでいるのかがよくわかる。以下はMicrosoftが公開しているイマーシブリーダーを使う生徒の動画。特に義務教育の段階で読むことに困難を感じる児童生徒にとっては福音であると思う。

このイマーシブリーダー機能は外国語学習にも役立つ。OneNoteのイマーシブリーダー機能では、合成音声の男声女声の切替、速度の調整ができる。英語では読み上げだけではなく、音節の表示、品詞の表示、単語の意味を表すイラストの表示(絵辞書機能)ができる。日本語では品詞の表示、単語の意味を表すイラストの表示(絵辞書機能)ができる。中国語は読み上げのみだが、裏では単語区切りを認識しているので、読み上げの際、単語ごとにハイライトが移動していく。OneNoteのイマーシブリーダー機能はiPadでも動くので義務教育の段階でも使いやすいと思う。

以下のMicrosoftのWebページの中程の「自分の読書用資料でイマーシブ リーダーをお試しください」というコーナーでWebブラウザ上でイマーシブリーダー機能のお試しができる。読み上げさせたい文章を入れて、言語を指定して使用する。

Microsoft学習ツール

PowerPointの自動字幕機能

このPowerPointの自動字幕機能は、Office365(サブスクリプションのMS Office)に含まれるPowerPointで使用できる。単体販売版のMS Office2019に含まれるPowerPointにはないので注意。

学会発表や授業でPowerPointでスライドを示しながら話していることを、音声入力で文字に変換し、リアルタイムでスライドの下に字幕として表示する機能である。聴覚にハンディキャップがある人が発表や授業を聞くのを助けることができる。更に機械翻訳をかませて、日本語でしゃべって英語字幕を表示、日本語でしゃべって中国語字幕を表示ということも可能である。ただし機械翻訳なので翻訳間違いはつきものである。

具体的な操作方法は以下のMicrosoft社のヘルプ記事を参照のこと。

PowerPoint でのリアルタイムの自動キャプションまたは字幕の表示