中国語圏からの訪日客が増えるに従って、日本国内の中国語による表示や案内を見かける機会が多くなってきたが、奇妙な訳文になっていることがあり、日本のマスコミでも報道されるようになっている。
- withnews「中国人が恐れる日本の中国語看板 驚きの誤訳…「静ちゃん」騒動」
- 朝日新聞「「脂肪には牛乳がありません」?? おかしな中国語看板」
- 日経新聞「誤訳の案内板、訪日客が困惑 退出口に「出て行け」 」
こういった誤訳の原因はおそらくWebで無料で使える機械翻訳にかけて出てきた例文を、中国語母語話者のチェック無しに写しているからだろう。
日本語に通じた中国語母語話者にチェックしてもらうのが良いが、実際には周りに適当な中国語話者がいない、翻訳や訳文のチェックを依頼する経済的、時間的余裕がないという場合もある。そのような時はいきなり機械翻訳にかけるのではなく、すでに人が訳した訳文例を利用することをお勧めする。ネット上には日本の政府系機関が作った訳文例がすでにいろいろあるのだが、PDFでアップロードされている資料が多く、案外知られていない。この記事では定型文の中国語訳に役立つ資料の例を紹介する(一部政府系機関によるものでない訳文例も含む)。
- 国土交通省 観光庁『観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン』(平成26年3月)
#29ページから訳文例がある。 - 文化庁『文化財の多言語ハンドブック』
#33ページから訳文例がある。 - 中国国家标准GB『公共服务领域日文译写规范』
#中国側の資料、国土交通省 観光庁の資料と付き合わせてみるとおもしろい。 - 東京都多言語メニュー作成支援ウェブサイト
#東京都にある飲食店しか登録できないが、このサイトの中にある「おもてなしツール」は誰でも使える。特に便利なのが「料理や食材の翻訳をしてみよう!」だ。 - テプラ外国語ラベル工房
#公共的な場所に張り出す案内や通知の類の外国語例文を検索できる。ラベルプリンターのテプラのための外国語例文検索サイトだが、テプラが無くても例文を検索することはできる。Flash Playerが必要なためスマートフォンやタブレットは不可、パソコンで使用すること。 - 多言語医療問診票
- 自治体国際化協会 地域国際化協会連絡協議会「多言語生活情報」
- 文部科学省「かすたねっと」
#外国につながりのある児童・生徒の学習を支援する情報検索サイト、多言語による補助教材、学校が出す通知の類の多言語版が検索できる。 - 厚生労働省「外国人労働者向けモデル労働条件通知書(中国語版)」
- 中国IPG 管理・情報専門委員会「日本語から中国語へ翻訳する際の翻訳品質向上に関するハンドブック」
日本の政府機関ではそれぞれ様々な中国語の訳文例を含む書類をネットに載せている。一括して検索するには以下のサイトで、中国語、多言語といったキーワードで検索するとよい。
電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)