5/25(水)の質問:中国語の勉強法

Q:先生の学生時代の中国語の勉強方法は?

A:学生時代を振り返って、勉強方法をいくつか紹介しましょう。

1.中国の映画やニュースの聞き取りをする。
  何度もテープを聴き、辞書を何度も引いて書き取った単語やフレーズは音として身に付きますし、忘れません。

 中国の映画やニュースをテープに入れて、1字ずつ書き取っていきます。こういう方法を初めてやったのは学部の3回生の時で、張成銘老師が担当する授業でした。あらかじめ自宅でテープを何度も聞いてノートに書き取ってきます。もちろん聞き取れない部分がたくさん残ります。というか空白の部分の方が多いくらいです。それを授業で張成銘老師が出してくれるヒントを元にもう一度挑戦するのです。
 張成銘老師は私たちの拙い中国語を馬鹿にすることなく辛抱強く熱心に指導して下さり、“不要害怕说错,大胆说!”(言い間違いを恐れてはいけない、大胆に話しなさい。)と常に私たちを励ましてくれました。

 張成銘老師の授業が終わった後もこの勉強方法を続けようと思い、1人だと挫折するので、友人とグループを組んで定期的にやってました。人間誰しも見栄がありますから、途中で投げ出したくなったときに友達に負けないようにと踏ん張りが効きますし、何人かいると、私の聞き取れないところを他の人が聞き取れている、他の人が聞き取れていないところを私が聞き取れているといった具合に、互いの足りない部分を補い合って聞き取れる部分が増えていきます。

2.中国に行く
 中国に行って実際に言葉が使われている現場を体験することにより、語彙力が強化できます。

 例えば、こんな体験をしたことがあります。
 中国の郵便局で日本に小包を送ろうとしたときの事です。4枚綴りの複写式の用紙に宛先などを書き込んだのですが、一番下の用紙の分がはっきり写っていません。郵便局員は私に向かって“miáo 一下”(ちょっと“miáo”して)と言いました。私は“miáo ”はどんな漢字だろう?と思いましたが、状況から考えて、一番下の用紙がはっきり写っていないからなぞって書けと言っていることは察しがつきます。音を忘れないように口の中でぶつぶつ言いながら部屋へ帰り辞書を引いてみると、“miáo ”は“描 ”であることがわかりました。
 その後、街角で“扫描”という看板を見ました。スキャンすることを“扫描”と言うのです。“扫”は「ほうきで掃く」“描”は「なぞる」です。確かにスキャナがスキャンする様子はほうきで掃くように物体の上をなぞっていくよなーと妙に納得しました。

 こんな風に日常生活の中で、漫画風に言えば「ひらめいた!」と頭の上に電灯マークがともるような経験をして、語彙のネットワークを増やしていくことができます。

3.中国語の文章をたくさん読む
 私は外国語学部ではなく文学部の出身です。日頃の授業は講読が中心で、現代中国語から古典中国語(いわゆる漢文)まで、みっちり読まされました。こういう読んで訳すという講読タイプの授業は外国語の習得に役に立たないという意見がありますが、果たしてそうなのでしょうか?

 文法が一通りマスターできれば、後は語彙力の勝負です。私の学習歴を振り返ると、確かに母語と同じようにまず耳から音として入ってそれを文字として定着させた語彙もありますが、講読において目で見た単語を、聞き取りで音として再確認して、それを憶えて話すという経過をたどった語彙もたくさんあります。古今の中国語の文章を読むことを通じて、中国語の発想や論理に慣れ、中国文化に関する知識を知っていたことが、中国語のレベルアップに大いに役に立ったのです。

 私も皆さんと同じで大学に入ってから中国語を始めました。バイリンガルの家庭で育ったわけでもないし、子供のころから中国語を勉強していたわけでもありません。大学院生の時に1年間、そして就職してから1年間中国に留学する機会に恵まれましたが、私の中国語の基礎は日本で身につけたものです。

 未だに使えない単語や聞き取れない単語がたくさんありますし、私の中国語が私の母語である日本語と同じように使えるようには一生ならないでしょう。“活到老,学到老”(死ぬまで勉強、“活”は生きるの意味)です。こういうとなんだか暗く聞こえますが、今までわからなかったり知らなかったりしたことがわかる、「ああ、こんな意味なんだ」「ほう、こんな言い方をするんだ」という、発見の喜びと驚きが一生続くということだと思います。