Q:中国語は漢字を見ただけ意味がわかるところってありますよね?逆に中国の人は日本の漢字を見たときはどうですか?
A:確かに漢字は中国からやってきたもので、今も日中双方で同じ意味に使われているものがあります。例えば「人」など。しかし、全部が全部そういうわけではありません。よく知られた例ですが、中国語で“床”といえば「ベッド」のことですし、“手纸”というと「ちり紙、トイレットペーパー」という意味ですし、中国語で“经理”というと、それは「社長」という意味です。
単語レベルだけでなく、文レベルでも勘違いは起こりえます。
こんな話を聞いたことがあります。中国から訪問団が日本の工場に見学に来ました。そして工場内の標語を見て非常に感心したのだそうです。その標語には「油断一秒、怪我一生」と書いてありました。これは工場内の事故を防ぐための標語です。一秒油断したら怪我(ケガ)をしてしまうかもしれない。ケガをしたらその後遺症に一生苦しむことになるかもしれないよということですね。何と言うことはない、安全に注意しましょうという標語です。
ところが、これは中国語として解釈すると「油が1秒切れたら、一生私を責めてください」と読めるのです。中国語の“怪”には「責める、とがめる」という意味があります。工場の機械の中には油が必要なものがたくさんありますね?油の補充を怠って1秒でも油が切れて工場の操業に影響したら、一生わたしを責めてくださいという労働者の仕事に対する決意文として読めるのです。それで日本の工場はなんと厳格で規律正しいのだと感心したわけです。
また、日本で使われている漢字の中には「畑」「辻」など、日本人が作りだした「和製漢字」があります(国字といいます)。これらはもともと中国語にないものですから、中国の人は読めません。
ですので、漢字を書けば何でも通じるというわけではありません。