このページは2016年7月1日に大阪府立大学で開催されるFDワークショップのためのページです。
FDワークショップ~学生の自己学習を促す「教材開発アプリ」の活用術~
【日時】 2016年7月1日(金)13:00~16:00
【場所】 大阪府立大学 中百舌鳥キャンパス B4棟 東K102教室
【講師】 清原 文代(高等教育推進機構)
目次
- Quizlet
- ShowMe
- Post-it® Plus
- これまで行ったセミナーやワークショップの記録
1.Quizlet
1.1 Quizletとは?
- 合成音声付きデジタル単語カードを作成するサービス、基本的な機能は無料で使える。
- 単語・フレーズ・短い文(300字以下)を、カードの両面に入力して、言語の種類を設定するだけで、音声付きカード、練習問題、テスト問題、ゲームを生成してくれる。
- 単語、用語、術語を大量に憶えないといけない資格試験対策など、いわゆる暗記カードを使うような学習に。
QuizletのWebサイト
https://quizlet.com
Quizletのアプリ
iPhone・iPad用
https://itunes.apple.com/jp/app/quizlet-flashcards-study-tools/id546473125?mt=8
Android用
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.quizlet.quizletandroid&hl=ja
1.2 まず試してみよう 中国語の数字
0〜10(中国語簡体字-pinyin)#pinyinとは中国語の発音を表す表音文字のこと
https://quizlet.com/_qqnwh
Quizletの主な機能
(パソコン・タブレット・スマートフォン、使用する端末によって若干機能の違いあり)
- Flashcards(合成音声付きカード)
- Learn(カードの片面を見て、もう一方の面を入力する練習)
- Speller(聞き取り練習)#Webブラウザのみ。
- Test(自動生成のテスト)
- Scatter(マッチングゲーム)
-
Gravity(タイピングによる撃ち落としゲー ム)#パソコンのWebブラウザのみ。
[追記]
最近リリースされた機能にQuizlet Liveがあります。これは上記の機能と異なり、対面授業でのみ使用できる機能で、3〜4人1組のチーム対抗戦です。
最低6人の学生が必要です。
最低12枚のカードが入ったカードセットが必要です。
- 教員はQuizletにログインし、使いたいカードセットのページを開けます。
- LIVEのボタンをクリックすると、PINコードが表示されます。
- 学生はWebブラウザを使ってquizlet.liveにアクセスし、上記のPINコードを入力してゲームに入ります。学生はQuizletのアカウントを持っていなくてもOKです。
- ゲームに入った後に、学生は名前を入力します。この名前は画面に表示されますので、人前で読み上げられないような名前を入力しないように、学生にあらかじめ注意しておきます。
- 名前を入力すると、学生は自動的に3〜4人1組のチームに分けられます。
- 教員はゲームをスタートするボタンをクリックして、ゲームを始めます。
- ゲームはカードの表が問題として出題されるので、学生はマッチするものを手持ちの札から選びます。
1.3 まず試してみよう 画像入りのカードセット
水果shuǐguǒ(果物)(中国語簡体字-pinyin)
https://quizlet.com/_151tf6
- 合成音声に読み上げさせたくない部分は()で囲む。
- 自分で撮った画像をアップロードするには有料アカウントになる必要あり。
1.4 探してみよう 自分の担当科目のカードセット
公開モードのカードセットは誰でも使え、Quizletのアカウントは不要。
Quizletはアメリカのサービスなので、英語で検索すると、より多くのカードセットが見つかる。
(例)
1.5 オリジナルのカードセットを作ってみよう
- オリジナルのカードセットを作るには、Quizletのアカウントが必要。
- カードセットはパソコンのWebブラウザでも、スマートフォンやタブレット用のQuizletアプリでも作成できる。
- 大量に作る時はパソコンのWebブラウザがオススメ。手軽に作るにはスマートフォンやタブレット用のQuizletアプリで。
- 本ワークショップではiPadのQuizletアプリで作成する。
パソコンで作る手順は以下の資料で。
中国語教育学会第6回研究会ワークショップ「中国語の反転授業に使えるデジタル教材を作る」
配付資料(PDF)
作成の大まかな手順
- タブレットやスマートフォンのQuizletアプリを起動する。
- アプリ内からQuizletにloginする。
- Create a new study setをタップして、新しいカードセットを作る。
- Titleにカードセットの題名を入力する。
- Termにカードの表に表示する単語・フレーズ・短文を入力する。
- Definitionにカードの裏に表示する単語・フレーズ・短文を入力する。
- 行を増やしたい時は、+をタップする。
- (i)をタップして、カードの表と裏のLanguageをそれぞれ決める。この設定が合成音声が読み上げる言語を決める。
- (i)をタップして、PERMISSIONで、このカードセットを見られる人と編集できる人を決める。
このカードセットを見られる人の設定は以下の4種類。
(1)Everyone(2)Certain Classes(3)People with a password(4)Just me。
初期設定はEveryone(誰でも見られる)。
このカードセットを編集できる人の設定は以下の3種類。
(1)Certain Classes(2)People with a password(3)Just me。
初期設定はJust me(作者のみ)。
- 全ての作業が終わったら、Doneをタップする。
[追記]
iPhoneのQuizletアプリでカードセットを作る操作動画
2015年3月2日に収録したもののため、現在のものとは若干インターフェースが異なる可能性あり。
1.6 学生にカードセットのURLを知らせるには?
- カードセットにはそれぞれ固有のURLがあるので、URLをメール・LMS(授業支援システム)等を通じて知らせる。
- 単に公開されているカードセットを使用するだけなら、学生はQuizletのアカウントは必要無し。パソコンでもスマートフォンでも利用できる。
- Quizletにはクラスを作る機能があるが、その場合は学生にQuizletのアカウントを取得させる必要あり。
- カードセットのURLをQRコードにして、プリントに印刷して配布し、学生のスマートフォンのQRコード読み取りアプリで読み取らせてアクセスさせる方法もあり。QuizletにはQRコード生成機能は無いので、他のサービスを利用する。
QRコードが生成できるサービスの例:
Google URL Shortner
https://goo.gl
1.7 Quizletの有料Teacherアカウントでできること
https://quizlet.com/teachers
$24.99/年(2016年6月現在)、Quizletのサイトでクレジットカード決済。
- 自分が撮った画像のアップロード
- 自分の声の録音
- 広告非表示
- 作成クラス数の制限無し
- クラスの進捗状況
- より早いサポート
1.8 カードセットをどう授業で活用する?
カードセットのURLを知らせただけでは学生はまず学習しない。カードセットの事前学習を前提にした授業内での活動を設計する必要がある。カードセットを学習済みの学生が得をする、カードセットを学習済みの学生が活躍できる活動を!
2.ShowMe
iPadに直接板書をしながら話したものを動画として収録して、ShowMeのサイトで公開できるサービス。基本的な機能は無料で使える。
2.1 「百聞不如一見」、ShowMeのサイトで自分の科目の動画を見てみよう
ShowMeでは多くの動画が公開されている。アメリカのサービスなので英語で検索した方がより多くの動画が見つかる。但し、使用する言語に制限はない。日本語で作っても勿論OK!
(例)
2.2 ShowMeで動画を収録する
iPadのShowMeアプリ
https://itunes.apple.com/jp/app/showme-interactive-whiteboard/id445066279?mt=8
iPadの専用アプリ(ShowMe Interactive Whiterboard)を起動し、iPadの画面に板書をしながら話す。複数の板書を切り替えながら収録できる。
iPadのカメラで写真を撮り、その画像に書き込むことも可能。但し、既存の市販の教科書の画像を使うのは著作権上の問題がある。
iPadのキーボード から文字を入力することもできるが、現時点ではフォントを指定する機能がないため、日本語をメインにしているiPadでは一部の中国語簡体字が日本語の字体で表示される問題がある。
ShowMeアプリで動画を収録する手順を示した動画(6分38秒)
http://youtu.be/ccpBrkKxFNw
2015年3月1日に収録したもののため、現在のものとは若干インターフェースが異なる可能性あり。
[追記]
ワークショップで、収録された音声が小さいという御意見がありました。iPadのマイクはiPadの本体に開いた小さな穴の奥にあります(穴の位置は機種によって異なります)。うっかり指などでこのマイクの穴を塞がないようにしてください。
iPhoneをお持ちの方は、iPhone付属のマイク付きイヤホンを使用すると、ちょうど口元のところにマイクが来ます。また、少しお金を出してよいのなら、iPad用の外付けマイクが複数のメーカーから発売されています。
2.3 ShowMeのアカウントを取る
ShowMeで作った動画をインターネットで公開するにはアカウントが必要。
無料アカウントでは必ず動画はShowMeのサイトで公開しなければならない。
https://www.showme.com/signup
2.4 ShowMeで板書動画を作るコツ
- 長い動画は見てもらえない、とにかく短く作る!動画1本あたり3分間を目指す。長くても10分以下に。
- 自分の講義の構造や構成を見直して、内容を細かく項目に分け、モジュール化する。モジュール化しておくと、いろいろな講義で使い回しも可能。
- 学生は自由に動画を止めたり進めたりできる。これは「先生の再生リモコン」を学生に渡したのと同じこと。通常の授業では教員は学生の様子を見て同じことを何度も繰り返したりするが、板書動画ではその必要はない。
- 最初から完璧を目指さない。とにかく撮ってみる。
- 慣れてきたら、無意識に何度も言ってしまう口癖(「エー」「あのー」といった類い)に注意すると聞きやすくなる。
[追記]
ワークショップの最中に、ShowMeで収録した動画の編集機能はないのかというご質問がありました。動画の編集を行いたいのあれば、他の選択肢を選ぶべきです。例えば以下のようなものがあります。
ShowMeは編集しないという割り切りでシンプルな操作を実現しています。とにかく板書を書いて話すのを収録する、それがShowMeです。
わたしは中国語の文法を説明する短い動画を作りたい時はShowMeで作ります。アプリの操作説明など後から編集が不可欠なものはCamtasiaを使っています。
わたしはShowMeの板書動画をだいたい以下のような手順で作っています。
- 何をどの順番でどのように話すかを考えます。これは自分の授業を振り返る良いきっかけになり、FDに役立ちます。
- キーポイントになる板書を先に書いてしまいます。
- 最初の板書を表示して、下線を引いたり、注釈を加えるなどしながら、説明の音声を収録します。疲れたら一時停止します。
- 次の板書に進みます。必要があれば前の板書に戻って説明します。
2.5 学生に動画のURLを知らせるには?
- 公開された動画にはそれぞれ固有のURLがあるので、URLをメール・LMS(授業支援システム)等を通じて知らせる。
- 単に公開されている動画を使用するだけなら、学生はShowMeのアカウントは必要無し。パソコンでもスマートフォンでも視聴できる。
- ShowMeにはクラスを作る機能があるが、その場合は学生にShowMeのアカウントを取得させる必要あり。
- 動画のURLをQRコードにして、プリントに印刷して配布し、学生のスマートフォンのQRコード読み取りアプリで読み取らせてアクセスさせる方法もあり。ShowMeにはQRコード生成機能は無いので、他のサービスを利用する。
QRコードが生成できるサービスの例:
Google URL Shortner
https://goo.gl
2.6 ShowMeの有料モードでできること
https://www.showme.com/pricing
Premiumアカウント(2016年6月現在)
$5.99/月(¥720/月)、または$49.92/年(¥6,000/年)
iPadのShowMeアプリの中からアプリ内課金で支払う。
- 非公開モードで投稿
- 自分が作った動画ファイルのダウンロード
- 学習グループ数の制限無し
- 学習グループの分析
- 動画アップロード合計300時間
- 帯域幅200 GB/月
- より早い動画のWeb公開
- より早いサポート
2.7 動画をどう授業で活用する?
動画のURLを知らせただけでは学生はまず見ない。動画の内容を理解しているかを問う課題を授業中に出すなど、動画を学習済みであることを前提とした授業内での活動を設計する必要がある。動画を見なくてもどうせ授業で説明してくれるからかまわないと思われたら一巻の終わり!
3.Post-it® Plus
https://itunes.apple.com/jp/app/post-it-plus/id920127738?mt=8
アナログで作業して、デジタルで記録→整理→共有する。
授業中の作業は、アナログ=正方形のポストイット(糊付き付箋)に手書き、授業後にその結果を記録したり共有したりするのにデジタルを使用するという使い分け。
- ペアワークやグループワーク、KJ法などで、正方形のポストイット(付箋)を使って学生に意見を書かせる時に使用すると非常に便利!
- このアプリは正方形のポストイットを使って書いたメモを撮影し、撮影した画像はアプリが自動的に背景から切り抜き、画像がゆがんでいたら正方形に補正してくれる。
- 背景を含む画像も残せるので、ホワイトボードに貼ったポストイットの周りに書き込んだコメントも残せる。
- グループ分けしたものを、Excelのファイル、画像ファイル、PDFファイル、PowerPointのファイルに書き出せる。
Excelのファイルにエクスポートすると、ポストイットの画像をグループごとに列に分け、1セルに画像を1つずつ入れる。元画像(切り抜き前の画像)も別シートに保存してくれる。annotationを書き込む列も自動的に作成されので、後からパソコンを使って整理したり、補足情報を書き込んだりするのに便利。
[追記]
- ワークショップではiPadを使いましたが、Post-it® PlusはiPhoneでも使えます。
- Post-it® Plusは複数枚の正方形の付箋を同時に撮影し、認識することができます。但し、重ねずに付箋と付箋の間に隙間を空けてください。
- 作成した付箋を内容によっていくつかのグループに分けて、グループごとに撮影します。
- 撮影するときは、撮影アイコンをタップしてしばらく押さえてから(tap&hold)、指を離すと撮影されます
- 1つめのグループを撮影するとボードができます。
- ボードの右上のカメラアイコンをタップして、2つめのグループを撮影し、ボードに追加します。以下この作業を繰り返します。
- ボードに貼られた付箋のグループから、特定の付箋を選んで指で別のグループに移動させることができます。つまり撮影後にグループ分けを変更することができます。
- 撮影後に付箋の向きを整列させることができます。ボードの中のグループをタップすると整列のためのメニューが現れます。
4.これまで行ったセミナーやワークショップの記録
今回の内容と重なるものがありますが、参考になると思います。
- 中国語教育学会第6回研究会ワークショップ「中国語の反転授業に使えるデジタル教材を作る」
配付資料(PDF)
本ワークショップとほぼ同じ内容ですが、Quizletのカードセットの作成にはパソコンを使用しています。また資料にはQuizletとShowMeの操作動画へのリンクがあります。
- ICTを活用した外国語教育—中国語教育を中心に—
配布資料(PDF)
- ICTを活用した外国語学習—中国語学習とスマートフォンを中心に—
配布資料(PDF)
- iPad一台でつくるマルチメディア電子書籍
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