5/11(水)の質問:字(あざな)について

Q:今の中国人にも字(あざな)はありますか?

A:字(あざな)を持ち出してくるとは、きっと中国古典に興味があるのですね。私がこの道に入ったのも、そもそも中国古典が好きだったからです。

中国古典を好きな人は知っているでしょうが、そうでない人にとっては「字(あざな)って何?」という状態だと思いますので、質問に答える前にまず字(あざな)について簡単に説明しておきます。

昔の中国人には少なくとも2つの名前がありました。本名である諱(いみな)、そして成人したときにつけてもらう字(あざな)です。人を諱(いみな)で呼ぶことは非常に失礼なこととされ、字(あざな)で呼びました。

その他、人によっては更に自分の趣味でつける号(ごう)や、生前の行ないに基づいて死後に贈られる諡(おくりな)を持っている場合があります。

例えば、北宋の蘇軾(1037〜1101)は、諱は軾、字は子瞻、号は東坡居士、諡は文忠です。

さて、質問に戻りますが、今の中国人には字(あざな)をつける習慣はありません。
では一生一つの名前かというとそうわけではなく、幼い頃に使う“小名"という呼び名があります。学校に上がるころになると、正式な名前で呼ぶようになります。

今の中国人の名前について詳しくはこの授業の参考書として指定した相原茂編著『中国語学習ハンドブック 改訂版』(大修館書店 1996年)の第III部「言語表現と文化」3「姓と名」を参照して下さい。