“オタク”な中国語教員の作り方:中国語教材のネット配信を通じて学んだこと

ICTを活用した外国語教育の最前線を知るカンファレンス」(2016年9月4日、立命館大学大阪いばらきキャンパス)で講演する機会をいただいた。その際の資料をiCloudのKeynoteの共有機能で公開した。

“オタク”な中国語教員の作り方―中国語教材のネット配信を通じて学んだこと―

ネットで中国語教材を配信し始めてちょうど10年になる。今回講演の機会をいただいたので、わたしの中国語教材ネット配信を振り返ってみた。10年でこれっぽっちと言えばそうだが、10年よく続いたなあとも個人的には思う。スライドの中で下線部のあるところにはWebリンクが貼ってあるので、リンクをたどって各教材をご覧いただければ幸い。

iWorkと言えばMac OS X専用ソフトウェアという印象だが、今はApple IDがあればWebブラウザで基本的は機能は使える。今回は閲覧のみで共有しているが、共同編集も可能だ。今回共有機能を初めて使ったが、なかなか良い感じである。
いつもならKeynoteからPDFに書きだして自分のWebサイトやブログ、はたまたSlideShareにアップしたりするのだが、ある学会で小学校の先生方が職場のiPadでKeynoteを使って教材提示をしているが、iPadのKeynoteで教材を作成するのではなく、WindowsパソコンからWebブラウザでiCloud版のiWorksにアクセスして教材を作り、作った教材を同僚と共有しているという話を聞いて、「なるほど!その手があったか。iCloud版のKeynoteで公開すればいいのだ。」と思ったのだ。
問題はGoogleと並んでサービスやソフトウェアの見切りが早いAppleがどこまでこの機能を維持してくれるかだが。

自分の作ったコンテンツの出口を考える

EDpuzzleで教材を試しに作ってみた。
関西大学中国語教材研究会がYouTubeにアップしているChinese Stationの動画にクイズを入れたもの。反転授業の予習用教材などに使える。

実は同様の機能を持つZaptionがこの9月末でサービス停止になる。EDpuzzleはZaptionからの移行ツールを用意しているので移行した。同じく素材は関西大学中国語教材研究会がYouTubeにアップしているChinese Stationの動画で、そこにクイズを入れた。

Zaption、これはおもしろそうと思って一つ作っただけなので、まあ実害はなかったと言っていい。Web上には所謂フリーミアムで使えるサービスがいろいろあるが、いつまでそのサービスが続くかわからない。自分の作ったコンテンツの出口は常に考えておかないといけない。

WordPressにH5Pというプラグインを入れると同様なことができることについても書いたが、なぜかiPhoneのSafariではうまく表示されない。iPhoneのSafariでデスクトップ用の表示にすれば見えるのだが。

外国語教員のためのEPUB(電子書籍)作成講座Part2

http://gakkai.univcoop.or.jp/pcc/2016/project.html#sec0810-1830

日時:2016年8月10日(水)18:30〜19:50
場所:大阪大学豊中キャンパス 全学教育推進機構 総合棟I ステューデント・コモンズ2F セミナー室C
http://www.celas.osaka-u.ac.jp/s_c

Part2とありますが、初めて参加される方でもOKです。
当初20時までと案内していましたが、会場の施錠時間の関係で、19時50分までとなりました。

事前申込みと参加費(PCカンファレンスの参加費+イブニング・セッションの参加費)が必要ですが、音声や動画、画像入りの電子書籍を作ってみたい方のご参加をお待ちしています。

2016PCカンファレンスの参加申込みについては、以下のWebページをご覧ください。
http://gakkai.univcoop.or.jp/pcc/2016/application.html

2016PCカンファレンス全般については、以下のWebページをご覧ください。
http://gakkai.univcoop.or.jp/pcc/2016/index.html

1.使用する予定のソフトウェア

ワークショップでは参加者の持ち込んだ機器(PC、Mac、iPad、iPhoneのいずれか)を使って、電子書籍(EPUB)を一緒に作っていく予定です。事前に以下のソフトのインストールが必要です

Windows&Mac OS X

Sigil(無料)
https://sigil-ebook.com
Sigil ver.0.9.6(2016年7月13日現在の最新バージョン)のダウンロードページ
https://github.com/Sigil-Ebook/Sigil/releases/tag/0.9.6

Sigilの使い方を紹介したスライドを見る

  1. テキスト中心でページ数の多い本格的な教科書作成も可能。
  2. XHTMLやCSSの知識がある人は直接コードを書けるが、その経験のない人にはややわかりにくいインターフェース。
  3. まだver.1になっていない状態で、以前長い間開発が止まったこともある。
  4. 近年のMacBookであれば、カメラとマイクを内蔵しているので、Quick Time Playerを使って自分の声や自分が話すところの動画を収録して利用できる。Windowsパソコンの場合は機種による。
    Apple「Quick Time Playerを使う方法
    MacでQuick Time Playerを使って音声や動画を収録する方法が書かれている。

Mac OS X

iBooks Author(無料)
https://itunes.apple.com/jp/app/ibooks-author/id490152466?mt=12

iBooks Authorの使い方を紹介したスライドを見る

  1. やや操作の癖はあるものの、ワープロのようなインターフェースで電子書籍が作成できる。テキスト中心でページ数の多い本格的な教科書作成も可能。
  2. 最初にiBooks Authorの独自形式か、EPUBかを選ぶのがポイント。iBooks Authorの独自形式は美しく多彩な機能を持つ電子教科書を作成できるが、現時点ではWindowsやAndroidでは閲覧できない。iBooks Authorの作るEPUBは、iBooks Authorの独自形式よりできることがだいぶ少なくなるが、適切なEPUBリーダーがあれば、Mac・Windows・iPhone・iPad・Android、いずれでも読める。
  3. 近年のMacBookであれば、カメラとマイクを内蔵しているので、Quick Time Playerを使って自分の声や自分が話すところの動画を収録して利用できる。
    Apple「Quick Time Playerを使う方法
    MacでQuick Time Playerを使って音声や動画を収録する方法が書かれている。
  4. 使用規約の関係で、作った電子書籍を有料販売する場合は、AppleのiBooksに限られる。無料の場合は配布場所は問わない。

iPad

Book Creator(有料)
https://itunes.apple.com/jp/app/book-creator-for-ipad-create/id442378070?mt=8

Book Creator 無料版(機能制限あり)
https://itunes.apple.com/jp/app/book-creator-wu-liao-ban/id661166101?mt=8
無料版には機能制限があり、電子書籍を1冊しか作れませんので、ワークショップ前にその貴重な1冊分を消費しないように気をつけて下さい。

  1. とにかくタブレットでマルチメディア電子書籍を作ってみたいという人の第一選択になりうるアプリ。
  2. 制作画面とできあがり画面がほぼ同一で、直感的な操作、ページにテキストや画像、音声、動画などを配置することができる。
  3. iPadのカメラとマイクを使って、その場で機動的に写真、動画、音声を収録して作成できる。
  4. iPadという機器の性質上、テキスト中心でページ数の多い本格的な教科書作成には向かない。
  5. レイアウトが固定される分、できあがった電子書籍は画面の小さいスマートフォンではやや見にくい。

Book Creatorの使い方を紹介したスライド
(p9からBook Creatorの使い方を紹介)


(2015年10月24日「ワークショップ「iPad一台でつくるマルチメディア電子書籍」で使用したスライド)

Book CreatorにはAndroidタブレット版やWindowsタブレット版もありますが、ワークショップではiPad版を使用します。Androidタブレット版やWindowsタブレット版については、以下のBook CreatorのWebサイトをご覧ください。
http://www.redjumper.net/bookcreator/

iPad&iPhone

Creative Book Builder(有料)
https://itunes.apple.com/jp/app/creative-book-builder/id451041428?mt=8

Creative Book Builderの使い方を紹介したスライドを見る

  1. 採点機能付きの選択問題を作る機能があったりして多機能だが、多機能過ぎてややとっつきにくいかも。
  2. スマホでもパソコンでも読みやすいリフロー型のEPUB(アプリ内ではClassicと表記)も、固定レイアウトのEPUB(アプリ内ではFixedと表記)も作れる。
  3. 固定レイアウトのEPUBではMedia Overlays(音声の再生に同期してしてテキストがが強調表示される機能、アプリ内ではRead Aloudと表記)も作成可能。
  4. 同じ1つのアプリがiPhoneでもiPadでも使え、iPhone1台でも電子書籍が作れるのがが驚異的。
  5. iPadやiPhoneのカメラとマイクを使って、その場で機動的に写真、動画、音声を収録して作成できる。
  6. iPhone・iPadという機器の性質上、テキスト中心でページ数の多い本格的な教科書作成には向かない。

2.音声入りEPUB(電子書籍)の読み方

2.1 iPhone、iPadで音声入りEPUBを読む

電子書籍を読むためにはiBooksアプリを使用します。
iOS8以上の場合は、iBooksアプリはあらかじめインストールされているので、改めてインストールする必要はありません。

  1. SafariでWeb上にある電子書籍(EPUB)のリンクを開きます。
  2. Webページの上辺に「iBooksで開く」という表示が出ます。
  3. 「iBooksで開く」をタップすると、電子書籍(EPUB)がiBooksの中にダウンロードされます。
    もしiBooks以外のアプリが指定されている時は、「次の方法で開く」を選び、候補の中からiBooksを選択します。
  4. iBooksアプリを起動して電子書籍(EPUB)を読みます。

2.2 Android搭載のスマートフォンやタブレットで音声入りEPUBを読む

Androidの場合、機種やメーカーによる違いが大きく一概には言えません。また、iBooksに相当するような定番と言えるEPUBリーダーをまだ発見できていませんが、Gitden ReaderHimawari Readerを使って、音声入りEPUBを読むことができます。

2.3 パソコン(Windows)で音声入りEPUBを読む

  1. WebブラウザChromeに、Readiumを入れておきます。
  2. Webブラウザで電子書籍(EPUB)のリンクを開き、ファイルをダウンロードします。
  3. Chromeを起動し、アプリ画面を開き、Readiumをクリックします。
  4. ウィンドウ上辺の「+」のアイコンをクリックして「本の追加画面」を開きます
  5. 「ローカルファイルから:」という項目の「ファイル選択」をクリックして、ダウンロードしたファイルを選びます。

2.4 パソコン(Mac OS X)で音声入りEPUBを読む

Mac OS X Mavericks以上では、あらかじめMac OS X用のiBooksがインストールされていますので、改めてEPUBリーダーをインストールする必要はありません。
ダウンロードした電子書籍(EPUB)をダブルクリックすると、iBooksが電子書籍(EPUB)を開きます。
Mac OS X Mavericksより下のバージョンのMac OS Xを使用している場合は、上記のWindowsの場合と同様にブラウザChromeにReadiumを入れて読みます。

3.参考

清原文代「EPUB(電子書籍)による音声入り外国語教材の開発と検証

H5Pを使って作ったインタラクティブなビデオ教材

YouTubeの動画にクイズなどを追加できるサービスZaption、これはなかなか良いサービスを見つけたと喜んでいたら、2016年9月末で廃止されるという連絡が!
Zaption Joins Workday

EdTech(Education+Technology)系のサービスはいろいろあって、たいていがフリーミアム(基本的な機能は無料で提供してユーザーを集め、有料アカウントになるとより多くの機能が利用できるようにするビジネスモデル)で、資金に乏しい教育関係者にはありがたいのだが、怖いのはサービスの廃止である。なのでこういうサービスを使う時は必ず作ったコンテンツを外に出せるか、たとえ完全な形でなくても自分の入力したものがムダにならないかということを考慮しなければならない。

このZaptionはサービス廃止に当たって、ユーザーのコンテンツがどうなるかということをFAQに書いている。また、FAQで代替サービスとしていくつかのサービスが紹介されていた。
Are there any other platforms like Zaption that you recommend?

上記のFAQで紹介されていた代替サービスのうち、WordPressにYouTubeの動画を読み込んでインタラクティブな動画教材を作れるH5Pのプラグインを試してみた。
以下の動画の再生コントロールバーに紫色の●があるところにわたしが作ったクイズが挿入されている。
なお、使用した動画はYouTubeにアップされている関西大学中国語教材研究会のChinese Station 2である。

サーバにWordPressをインストールしてそこにH5Pのプラグインを入れるというのは、たぶん多くの教員には個人でやるには敷居が高いが、勤務校がWordPressを導入してプラグインを入れるところまでやってくれたら、なんとかなるかもしれない。
H5PはHTML5を使ったリッチなコンテンツを作る様々な機能を無料で提供している。

iPadを使ったワークショップ

このページは2016年7月1日に大阪府立大学で開催されるFDワークショップのためのページです。

FDワークショップ~学生の自己学習を促す「教材開発アプリ」の活用術~

【日時】  2016年7月1日(金)13:00~16:00
【場所】  大阪府立大学 中百舌鳥キャンパス B4棟 東K102教室
【講師】  清原 文代(高等教育推進機構)

目次

  1. Quizlet
  2. ShowMe
  3. Post-it® Plus
  4. これまで行ったセミナーやワークショップの記録

1.Quizlet

1.1 Quizletとは?

  • 合成音声付きデジタル単語カードを作成するサービス、基本的な機能は無料で使える。
  • 単語・フレーズ・短い文(300字以下)を、カードの両面に入力して、言語の種類を設定するだけで、音声付きカード、練習問題、テスト問題、ゲームを生成してくれる。
  • 単語、用語、術語を大量に憶えないといけない資格試験対策など、いわゆる暗記カードを使うような学習に。

QuizletのWebサイト
https://quizlet.com

Quizletのアプリ
iPhone・iPad用
https://itunes.apple.com/jp/app/quizlet-flashcards-study-tools/id546473125?mt=8
Android用
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.quizlet.quizletandroid&hl=ja

1.2 まず試してみよう 中国語の数字

0〜10(中国語簡体字-pinyin)#pinyinとは中国語の発音を表す表音文字のこと
https://quizlet.com/_qqnwh

Quizletの主な機能

(パソコン・タブレット・スマートフォン、使用する端末によって若干機能の違いあり)

  1. Flashcards(合成音声付きカード)
  2. Learn(カードの片面を見て、もう一方の面を入力する練習)
  3. Speller(聞き取り練習)#Webブラウザのみ。
  4. Test(自動生成のテスト)
  5. Scatter(マッチングゲーム)
  6. Gravity(タイピングによる撃ち落としゲー ム)#パソコンのWebブラウザのみ。

    [追記]

    最近リリースされた機能にQuizlet Liveがあります。これは上記の機能と異なり、対面授業でのみ使用できる機能で、3〜4人1組のチーム対抗戦です。
    最低6人の学生が必要です。
    最低12枚のカードが入ったカードセットが必要です。

    1. 教員はQuizletにログインし、使いたいカードセットのページを開けます。
    2. LIVEのボタンをクリックすると、PINコードが表示されます。
    3. 学生はWebブラウザを使ってquizlet.liveにアクセスし、上記のPINコードを入力してゲームに入ります。学生はQuizletのアカウントを持っていなくてもOKです。
    4. ゲームに入った後に、学生は名前を入力します。この名前は画面に表示されますので、人前で読み上げられないような名前を入力しないように、学生にあらかじめ注意しておきます。
    5. 名前を入力すると、学生は自動的に3〜4人1組のチームに分けられます。
    6. 教員はゲームをスタートするボタンをクリックして、ゲームを始めます。
    7. ゲームはカードの表が問題として出題されるので、学生はマッチするものを手持ちの札から選びます。

1.3 まず試してみよう 画像入りのカードセット

水果shuǐguǒ(果物)(中国語簡体字-pinyin)
https://quizlet.com/_151tf6

  • 合成音声に読み上げさせたくない部分は()で囲む。
  • 自分で撮った画像をアップロードするには有料アカウントになる必要あり。

1.4 探してみよう 自分の担当科目のカードセット

公開モードのカードセットは誰でも使え、Quizletのアカウントは不要。
Quizletはアメリカのサービスなので、英語で検索すると、より多くのカードセットが見つかる。

(例)

1.5 オリジナルのカードセットを作ってみよう

  1. タブレットやスマートフォンのQuizletアプリを起動する。
  2. アプリ内からQuizletにloginする。
  3. Create a new study setをタップして、新しいカードセットを作る。
  4. Titleにカードセットの題名を入力する。
  5. Termにカードの表に表示する単語・フレーズ・短文を入力する。
  6. Definitionにカードの裏に表示する単語・フレーズ・短文を入力する。
  7. 行を増やしたい時は、+をタップする。
  8. (i)をタップして、カードの表と裏のLanguageをそれぞれ決める。この設定が合成音声が読み上げる言語を決める。
  9. (i)をタップして、PERMISSIONで、このカードセットを見られる人と編集できる人を決める。
    このカードセットを見られる人の設定は以下の4種類。
    (1)Everyone(2)Certain Classes(3)People with a password(4)Just me。
    初期設定はEveryone(誰でも見られる)。
    このカードセットを編集できる人の設定は以下の3種類。
    (1)Certain Classes(2)People with a password(3)Just me。
    初期設定はJust me(作者のみ)。
  10. 全ての作業が終わったら、Doneをタップする。

[追記]

iPhoneのQuizletアプリでカードセットを作る操作動画
2015年3月2日に収録したもののため、現在のものとは若干インターフェースが異なる可能性あり。

1.6 学生にカードセットのURLを知らせるには?

  • カードセットにはそれぞれ固有のURLがあるので、URLをメール・LMS(授業支援システム)等を通じて知らせる。
  • 単に公開されているカードセットを使用するだけなら、学生はQuizletのアカウントは必要無し。パソコンでもスマートフォンでも利用できる。
  • Quizletにはクラスを作る機能があるが、その場合は学生にQuizletのアカウントを取得させる必要あり。
  • カードセットのURLをQRコードにして、プリントに印刷して配布し、学生のスマートフォンのQRコード読み取りアプリで読み取らせてアクセスさせる方法もあり。QuizletにはQRコード生成機能は無いので、他のサービスを利用する。
    QRコードが生成できるサービスの例:
    Google  URL Shortner
    https://goo.gl

1.7 Quizletの有料Teacherアカウントでできること

https://quizlet.com/teachers

$24.99/年(2016年6月現在)、Quizletのサイトでクレジットカード決済。

  • 自分が撮った画像のアップロード
  • 自分の声の録音
  • 広告非表示
  • 作成クラス数の制限無し
  • クラスの進捗状況
  • より早いサポート

1.8 カードセットをどう授業で活用する?

カードセットのURLを知らせただけでは学生はまず学習しない。カードセットの事前学習を前提にした授業内での活動を設計する必要がある。カードセットを学習済みの学生が得をする、カードセットを学習済みの学生が活躍できる活動を!

2.ShowMe

iPadに直接板書をしながら話したものを動画として収録して、ShowMeのサイトで公開できるサービス。基本的な機能は無料で使える。

2.1 「百聞不如一見」、ShowMeのサイトで自分の科目の動画を見てみよう

ShowMeでは多くの動画が公開されている。アメリカのサービスなので英語で検索した方がより多くの動画が見つかる。但し、使用する言語に制限はない。日本語で作っても勿論OK!

(例)

2.2 ShowMeで動画を収録する

iPadのShowMeアプリ
https://itunes.apple.com/jp/app/showme-interactive-whiteboard/id445066279?mt=8

iPadの専用アプリ(ShowMe Interactive Whiterboard)を起動し、iPadの画面に板書をしながら話す。複数の板書を切り替えながら収録できる。

iPadのカメラで写真を撮り、その画像に書き込むことも可能。但し、既存の市販の教科書の画像を使うのは著作権上の問題がある。

iPadのキーボード から文字を入力することもできるが、現時点ではフォントを指定する機能がないため、日本語をメインにしているiPadでは一部の中国語簡体字が日本語の字体で表示される問題がある。

ShowMeアプリで動画を収録する手順を示した動画(6分38秒)
http://youtu.be/ccpBrkKxFNw
2015年3月1日に収録したもののため、現在のものとは若干インターフェースが異なる可能性あり。

[追記]

ワークショップで、収録された音声が小さいという御意見がありました。iPadのマイクはiPadの本体に開いた小さな穴の奥にあります(穴の位置は機種によって異なります)。うっかり指などでこのマイクの穴を塞がないようにしてください。
iPhoneをお持ちの方は、iPhone付属のマイク付きイヤホンを使用すると、ちょうど口元のところにマイクが来ます。また、少しお金を出してよいのなら、iPad用の外付けマイクが複数のメーカーから発売されています。

2.3 ShowMeのアカウントを取る

ShowMeで作った動画をインターネットで公開するにはアカウントが必要。
無料アカウントでは必ず動画はShowMeのサイトで公開しなければならない。

https://www.showme.com/signup

2.4 ShowMeで板書動画を作るコツ

  • 長い動画は見てもらえない、とにかく短く作る!動画1本あたり3分間を目指す。長くても10分以下に。
  • 自分の講義の構造や構成を見直して、内容を細かく項目に分け、モジュール化する。モジュール化しておくと、いろいろな講義で使い回しも可能。
  • 学生は自由に動画を止めたり進めたりできる。これは「先生の再生リモコン」を学生に渡したのと同じこと。通常の授業では教員は学生の様子を見て同じことを何度も繰り返したりするが、板書動画ではその必要はない。
  • 最初から完璧を目指さない。とにかく撮ってみる。
  • 慣れてきたら、無意識に何度も言ってしまう口癖(「エー」「あのー」といった類い)に注意すると聞きやすくなる。

[追記]

ワークショップの最中に、ShowMeで収録した動画の編集機能はないのかというご質問がありました。動画の編集を行いたいのあれば、他の選択肢を選ぶべきです。例えば以下のようなものがあります。

ShowMeは編集しないという割り切りでシンプルな操作を実現しています。とにかく板書を書いて話すのを収録する、それがShowMeです。
わたしは中国語の文法を説明する短い動画を作りたい時はShowMeで作ります。アプリの操作説明など後から編集が不可欠なものはCamtasiaを使っています。

わたしはShowMeの板書動画をだいたい以下のような手順で作っています。

  1. 何をどの順番でどのように話すかを考えます。これは自分の授業を振り返る良いきっかけになり、FDに役立ちます。
  2. キーポイントになる板書を先に書いてしまいます。
  3. 最初の板書を表示して、下線を引いたり、注釈を加えるなどしながら、説明の音声を収録します。疲れたら一時停止します。
  4. 次の板書に進みます。必要があれば前の板書に戻って説明します。

2.5 学生に動画のURLを知らせるには?

  • 公開された動画にはそれぞれ固有のURLがあるので、URLをメール・LMS(授業支援システム)等を通じて知らせる。
  • 単に公開されている動画を使用するだけなら、学生はShowMeのアカウントは必要無し。パソコンでもスマートフォンでも視聴できる。
  • ShowMeにはクラスを作る機能があるが、その場合は学生にShowMeのアカウントを取得させる必要あり。
  • 動画のURLをQRコードにして、プリントに印刷して配布し、学生のスマートフォンのQRコード読み取りアプリで読み取らせてアクセスさせる方法もあり。ShowMeにはQRコード生成機能は無いので、他のサービスを利用する。

QRコードが生成できるサービスの例:
Google  URL Shortner
https://goo.gl

2.6 ShowMeの有料モードでできること

https://www.showme.com/pricing

Premiumアカウント(2016年6月現在)
$5.99/月(¥720/月)、または$49.92/年(¥6,000/年)
iPadのShowMeアプリの中からアプリ内課金で支払う。

  • 非公開モードで投稿
  • 自分が作った動画ファイルのダウンロード
  • 学習グループ数の制限無し
  • 学習グループの分析
  • 動画アップロード合計300時間
  • 帯域幅200 GB/月
  • より早い動画のWeb公開
  • より早いサポート

2.7 動画をどう授業で活用する?

動画のURLを知らせただけでは学生はまず見ない。動画の内容を理解しているかを問う課題を授業中に出すなど、動画を学習済みであることを前提とした授業内での活動を設計する必要がある。動画を見なくてもどうせ授業で説明してくれるからかまわないと思われたら一巻の終わり!

3.Post-it® Plus

https://itunes.apple.com/jp/app/post-it-plus/id920127738?mt=8

アナログで作業して、デジタルで記録→整理→共有する。
授業中の作業は、アナログ=正方形のポストイット(糊付き付箋)に手書き、授業後にその結果を記録したり共有したりするのにデジタルを使用するという使い分け。

  • ペアワークやグループワーク、KJ法などで、正方形のポストイット(付箋)を使って学生に意見を書かせる時に使用すると非常に便利!
  • このアプリは正方形のポストイットを使って書いたメモを撮影し、撮影した画像はアプリが自動的に背景から切り抜き、画像がゆがんでいたら正方形に補正してくれる。
  • 背景を含む画像も残せるので、ホワイトボードに貼ったポストイットの周りに書き込んだコメントも残せる。
  • グループ分けしたものを、Excelのファイル、画像ファイル、PDFファイル、PowerPointのファイルに書き出せる。
    Excelのファイルにエクスポートすると、ポストイットの画像をグループごとに列に分け、1セルに画像を1つずつ入れる。元画像(切り抜き前の画像)も別シートに保存してくれる。annotationを書き込む列も自動的に作成されので、後からパソコンを使って整理したり、補足情報を書き込んだりするのに便利。

[追記]

  • ワークショップではiPadを使いましたが、Post-it® PlusはiPhoneでも使えます。
  • Post-it® Plusは複数枚の正方形の付箋を同時に撮影し、認識することができます。但し、重ねずに付箋と付箋の間に隙間を空けてください。
  1. 作成した付箋を内容によっていくつかのグループに分けて、グループごとに撮影します。
  2. 撮影するときは、撮影アイコンをタップしてしばらく押さえてから(tap&hold)、指を離すと撮影されます
  3. 1つめのグループを撮影するとボードができます。
  4. ボードの右上のカメラアイコンをタップして、2つめのグループを撮影し、ボードに追加します。以下この作業を繰り返します。
  5. ボードに貼られた付箋のグループから、特定の付箋を選んで指で別のグループに移動させることができます。つまり撮影後にグループ分けを変更することができます。
  6. 撮影後に付箋の向きを整列させることができます。ボードの中のグループをタップすると整列のためのメニューが現れます。

4.これまで行ったセミナーやワークショップの記録

今回の内容と重なるものがありますが、参考になると思います。

  1. 中国語教育学会第6回研究会ワークショップ「中国語の反転授業に使えるデジタル教材を作る」
    配付資料(PDF)
    本ワークショップとほぼ同じ内容ですが、Quizletのカードセットの作成にはパソコンを使用しています。また資料にはQuizletとShowMeの操作動画へのリンクがあります。
  2. ICTを活用した外国語教育—中国語教育を中心に—
    配布資料(PDF)
  3. ICTを活用した外国語学習—中国語学習とスマートフォンを中心に—
    配布資料(PDF)
  4. iPad一台でつくるマルチメディア電子書籍
    スライド

外国語教員のためのEPUB(電子書籍)作成講座Part2

2016PCカンファレンス(大阪大学豊中キャンパス、8月10日〜12日)のイブニング・セッションにおいて、EPUB(電子書籍)を作るワークショップを行います。

「外国語教員のためのEPUB(電子書籍)作成講座Part2」
8月10日(水)18:30〜20:00(大阪大学豊中キャンパス)
http://gakkai.univcoop.or.jp/pcc/2016/project.html#sec0810-1830
Part2とありますが、初めて参加される方でもOKです。

参加費(PCカンファレンスの参加費+イブニング・セッションの参加費)が必要ですが、音声や動画、画像入りの電子書籍を作ってみたい方のご参加をお待ちしています。

ワークショップでは参加者の持ち込んだ機器(PC、Mac、iPad、iPhoneのいずれか)を使って、電子書籍(EPUB)を一緒に作っていく予定です。事前に以下のソフトのインストールが必要です。

Windows・Mac OS X:
Sigil(無料)
https://sigil-ebook.com

iPad:
Book Creator(有料、無料試用版あり)
https://itunes.apple.com/jp/app/book-creator-for-ipad-create/id442378070?mt=8

iPad,iPhone:
Creative Book Builder(有料)
https://itunes.apple.com/jp/app/creative-book-builder/id451041428?mt=8

2016PCカンファレンス全般については、以下のWebページをご覧ください。
http://gakkai.univcoop.or.jp/pcc/2016/index.html

2016PCカンファレンスの参加申込みについては、以下のWebページをご覧ください。
http://gakkai.univcoop.or.jp/pcc/2016/application.html

再録コラム“宅女炒冷饭”を始めました。

Twitterに書いたものや、Facebookに公開モードで書いた記事を再録した連載宅女炒冷饭を「中国語学習ジャーナル」に掲載してもらうことになりました。“炒冷饭”とは冷えたご飯を炒めなおす、つまり二番煎じをすることです。どうぞごひいきに。
しかし、あちこちに書き散らしたものをいつかどこかにまとめないといけないなあ…

学生用iPadにブックマークしているサイト

外部資金で購入したiPadを授業の度に貸し出す形で運用している。
アプリ等の管理はApple純正の管理ソフトであるApple Configuratorで。
教員が校務の合間に一人で面倒を見るのは30台が限度だと思う。

以下は備忘録、学生用iPadにブックマークしている、あるいはしようと思っているWebサイト。

  1. 大阪府立大学
  2. 東京外大言語モジュール:中国語
  3. goo辞書
  4. 白水社中国語辞典
  5. 氷野善寛「Chinese Text Analyser β版」(簡体字→pinyin変換)
    変換が100%正しいという保証はありません。必ず辞書を引いて確認してください。
  6. Quizlet入門〜初級単語308リンク集(清原文代)
  7. ShowMe(板書動画)リンク集(清原文代)
  8. 「“宅女”の部屋」リンク集(清原文代)
  9. 『中国の大学生と話そう』EPUB版(清原文代・韓艶玲・浦山あゆみ・田邉鉄)
  10. 中国語学習ジャーナル

反転授業用の動画教材を作るソフトウェア

パソコンで作る

Camtasia(有料)

https://www.techsmith.co.jp/camtasia.html

パソコンで動画教材を作るならこのソフトが定番と言われている。パソコンで資料を提示しながら話したものを録画できる。パソコンの内蔵カメラで自分の話す様子を録画したものを取り込むことも可能。Windows版とMac OS X版がある。
作った動画を公開するサイトは自分で用意する。

Mac(Mac OS X Yosemite搭載)で作る

Mac OS X付属のQuickTime Playerで、Macで資料を提示しながら話したものを動画で収録できる。Macを持っているのなら一番手軽にできる方法。
QuickTime Playerの「ファイル」メニュー→「新規画面収録」
録画ボタン(赤い丸のアイコン)の右横にある▽をクリックして「内蔵マイク」にチェックをつけるのを忘れないように。
USBケーブルでMacに繋いだiPhoneやiPadの操作画面を収録することもできる。
作った動画を公開するサイトは自分で用意する。

iPadで作る

ShowMe

http://www.showme.com
iPadに書いた板書と説明の音声が同期した動画を作る。専用のiPadアプリShowMe Interactive Whiteboardで、iPadの画面に書きながら話したものを録画する。
録画したものはShowMeのサイトで公開する。
無料で使い始められるが、アプリ内課金で有料モード(1ヶ月単位或いは1年単位の継続課金)にすると機能が増える。
具体的な機能の違いは、無料モードと有料モードの違いを説明したページで。

Doodlecast Pro Video Whiteboard(有料)

https://itunes.apple.com/jp/app/doodlecast-pro-video-whiteboard/id469486202?mt=8

iPadに書いた板書と説明の音声が同期した動画を作る。機能的にはShowMeと似たようなものだが、こちらは買い切りのアプリ。
作った動画を公開するサイトは自分で用意する。

Explain Everything(有料)

https://itunes.apple.com/jp/app/explain-everything/id431493086?mt=8

iPadに書いた板書と説明の音声が同期した動画に加えて、iPadのカメラで撮影した動画も取り込める本格的な動画教材作成アプリ。なんとiPhoneでも動く。
作った動画を公開するサイトは自分で用意する。